IoT時代の安全概念「Safety2.0」の世界観

 「止める安全」から「止めない安全」へー。人とロボットが協働する時代における機械安全の新たな概念が広がりつつある。各国がさまざまなアプローチでこれを具現化しようと議論が活発化する中、日本は「Safety2.0(協調安全)」という考え方を打ち出し、IoT時代の新たな安全規格として国際標準化を目指している。国際電気標準会議(IEC)副会長を務める三菱電機の堤和彦特任技術顧問にその世界観を聞いた。 隔離から共存へ ー「Safety2.0」とはどのような考え方ですか。そもそもなぜ「2.0」なのでしょう。 「機械安全の進展を、人間とライオンの関係に例えて説明しましょう。安全確保を人の注意力や判断力だけに依存していた初期段階を『Safety0.0』時代とすれば、人とライオンが共存する世界にはリスクがつきもので、人間は極力、ライオンに遭遇しないよう細心の注意を払っていました。その後、おりを設置して、ライオンを人間から隔離しました。すなわちこれが、機械技術によって隔離や停止策を講じる『Safety1.0』時代の発想です。ところが、近年は人と機械がいかに協調しながら安全な作業環境を構築できるかが重要になってきたのです」 -なぜですか。 「IoT化やロボット化が進んだ結果、稼働している装置に人が近づく度に停止していては、生産性の向上と安全性の確保が両立できないからです。人間と機械、さらには周辺環境が協調しながら安全を構築する新たな視点が求められているのです」 「止めない安全」そのゆえん -それが技術で実現できると。 「そうです。『Safety1.0』時代には、人間が機械に近づいた場合にはこれを『止める』ことしかできませんでした。しかし今や、例えばセンシング技術やリアルタイムデータを活用することで機械側が危険を予知し、これを回避する動きをしたり、あるいはオペレーターの習熟度によって、速度を落とすといった柔軟な制御が可能になります。これが『止めない安全』と言われるゆえんであり、柔軟な生産体制の構築や人と機械の協業を実現できると考えられています。もちろん、ファクトリーオートメーション(FA)事業を手がける三菱電機としてもビジネスのヒントがあります」 -こうした発想は世界中で広がっているのですか。 サイトへ移動


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